2026 年の LLM API 料金:token 単価は上昇、同等性能は 50 倍安く

目次
  1. この 1 年で LLM API の定価はどう変わったか
  2. Anthropic、OpenAI、Google、DeepSeek のモデル料金は 2 年間でどう変わったか
  3. モデルは値上がりしたのか、それとも性能が上がっただけなのか
  4. カテゴリごとの料金はどう違ったか
  5. 各社の料金戦略はどう違ったか
  6. DeepSeek の料金戦略は他社とどう違うのか
  7. 4 社を比較するとどう違うか
  8. カテゴリごとの料金はどう動いたか
  9. 同じ性能を得るための費用はどこまで下がったか
  10. なぜ料金はこう動いたのか
  11. token 単価とタスク単価はなぜ違うのか
  12. 入力料金に対してキャッシュ料金はどう変わったか
  13. 実務ではどう判断するか
  14. よくある質問
  15. 関連記事

LLM API の token あたりの定価は、2025 年 10 月から 2026 年 10 月にかけて、14 のモデル系列のうち 10 系列で上がった。それでも、一定の性能を満たす最安モデルの token 単価は大きく下がっている。指数 20 から 40 の水準では 17 から 50 分の 1、指数 50 では 2.5 分の 1 になった。ここでいう系列とは、Claude Opus や Gemini Flash のような、各社の製品ラインを指す。性能は、独立した複合ベンチマークである Artificial Analysis Intelligence Index のスコアで測る。スコアは 0 から 100 で、現在の最高値は 57.6 だ。料金は入力と出力を 3:1 で加重平均した、100 万 token あたりのドル建て料金を使う。各系列の新モデルは旧モデルより高性能なので、系列ごとの値上がりと、同等性能の低価格化は同時に起きる。

TL;DR

  • 2025 年 10 月から 2026 年 10 月にかけて、入力の定価は 14 系列のうち 10 系列で上昇した。下落した 3 系列はすべて Anthropic だ。
  • Artificial Analysis の指数 40 を満たす最安モデルの加重平均料金は、2026 年 4 月には 100 万 token あたり $10、10 月には $0.20 だった。
  • 2024 年 10 月以降、Anthropic は 3 系列すべてを値下げした(Opus は $15 / $75 から $4 / $20)。Google は 3 系列すべてを値上げし、OpenAI は中位モデルだけを値上げした。
  • 非公開モデルの主力製品では、入力料金の最高値と最安値の差が 12x から 2x に縮まった。一方、重み公開モデルの主力製品は料金の中央値が倍になった。

この 1 年で LLM API の定価はどう変わったか

ほとんどの系列で、token 単価は 1 年前より高くなった。2025 年 10 月 15 日と 2026 年 10 月 15 日のそれぞれで、その系列を担っていたモデルを比較した。

系列2025 年 10 月のモデルと 100 万 token あたりの料金(入力 / 出力)2026 年 10 月のモデルと 100 万 token あたりの料金(入力 / 出力)入力料金の比率、2026 年 / 2025 年
OpenAI 主力GPT-5, $1.25 / $10GPT-6.1 Sol、$2 / $101.6x
OpenAI 中位GPT-5 mini, $0.25 / $2GPT-5.6 Terra、$2 / $128x
OpenAI 小型GPT-5 nano, $0.05 / $0.40GPT-6 Luna、$0.10 / $0.502x
Claude OpusOpus 4.1, $15 / $75Opus 5.5、$4 / $200.27x
Claude SonnetSonnet 4.5、$3 / $15Sonnet 5.5、$2 / $100.67x
Claude HaikuHaiku 4.5、$1 / $5Haiku 5.5、$0.10 / $0.500.1x
Gemini ProGemini 2.5 Pro、$1.25 / $10Gemini 4 Argon、$2 / $101.6x
Gemini FlashGemini 2.5 Flash、$0.30 / $2.50Gemini 3.8 Flash、$0.75 / $3.752.5x
Gemini Flash-LiteGemini 2.5 Flash-Lite、$0.10 / $0.40Gemini 3.5 Flash-Lite、$0.30 / $2.503x
DeepSeek 低価格V3.2-Exp, $0.28 / $0.42V4.1 Flash、ピーク時間帯は $0.30 / $1.201.07x
Zhipu GLM 主力GLM-4.6, $0.60 / $2.20GLM-5.3、$1.40 / $4.402.3x
Moonshot Kimi 主力Kimi K2, $0.60 / $2.50Kimi K3、$3 / $155x
Alibaba Qwen MaxQwen3-Max、$1.20 / $6Qwen3.8 Max、$2 / $61.67x
MiniMaxM2(10 月 23 日から)、$0.30 / $1.20M3、$0.30 / $1.201x

一部の料金には条件がある。Argon と Gemini 3.8 Flash は導入料金で、それぞれ 12 月 1 日と 1 月 1 日に倍額になる。Haiku 5.5 は prompt が 100,000 token を超えると $0.50 / $2.50 になる。DeepSeek の行では、北京の営業時間内に適用されるピーク料金を使っている(オフピークは半額で、V3.2-Exp の加重平均料金より安い)。入力料金ではなく加重平均料金で数えても、値上がりは 14 系列中 10 系列となる。Kimi K2 と Qwen3-Max の料金は第三者の記録を使った。

Anthropic、OpenAI、Google、DeepSeek のモデル料金は 2 年間でどう変わったか

この 2 年間で、Anthropic は 3 つの価格帯すべてで定価を下げた。OpenAI の主力モデルと小型モデルはおおむね当初と同じ水準に落ち着いた一方、中位モデルは 17x に上がった。Google はすべての価格帯で値上げした。DeepSeek の低価格モデルはピーク時間帯の料金が約 3x になった一方、キャッシュヒット料金は入力料金の 2% に下がった。以下のグラフと表では、非公開モデルを開発する大手 3 社について、2024 年 10 月までさかのぼり、各時点の主力・中位・小型モデルの料金を追う。DeepSeek は 3 つの価格帯ではなく、1 つか 2 つのモデルを販売しているため、別の節で扱い、最後の表で 4 社を比較する。

主力、中位、小型の 3 パネルに、2024 年 10 月から 2026 年 10 月までの各社の料金推移を階段状の線で表示。縦軸は対数目盛。Anthropic は 3 カテゴリすべてで下落。OpenAI は中位で上昇し、それ以外は期初とほぼ同水準。Google は 3 カテゴリすべてで上昇

カテゴリAnthropicOpenAIGoogle
主力Claude 3 Opus の $15 / $75 から Opus 5.5 の $4 / $20 へ:0.27xGPT-4o の $2.50 / $10 から GPT-6.1 Sol の $2 / $10 へ:0.91xGemini 1.5 Pro の $1.25 / $5 から Gemini 4 Argon の $2 / $10 へ:1.8x
中位Claude 3.5 Sonnet の $3 / $15 から Sonnet 5.5 の $2 / $10 へ:0.67xGPT-4o mini の $0.15 / $0.60 から GPT-5.6 Terra の $2 / $12 へ:17xGemini 1.5 Flash の $0.075 / $0.30 から Gemini 3.8 Flash の $0.75 / $3.75 へ:11x
小型Claude 3 Haiku の $0.25 / $1.25 から Haiku 5.5 の $0.10 / $0.50 へ:0.4xGPT-4o mini から $0.10 / $0.50 の GPT-6 Luna へ:0.76xGemini 1.5 Flash-8B の $0.0375 / $0.15 から Gemini 3.5 Flash-Lite の $0.30 / $2.50 へ:13x

料金は各年の 10 月 15 日時点のもので、比率は加重平均料金で比較している。OpenAI の下位 2 行は、どちらも GPT-4o mini を起点とする。2025 年 4 月に GPT-4.1 nano が登場するまで、OpenAI には独立した小型モデルがなかったためだ。

モデルは値上がりしたのか、それとも性能が上がっただけなのか

モデルの性能は、ほとんどの系列で向上した。2025 年 10 月から 2026 年 10 月にかけて、各系列の現行モデルの指数スコアは 1.9 から 3.3 倍になった。指数 1 ポイントあたりの料金(加重平均料金 ÷ 指数スコア。1x 未満なら同じ性能を得る費用が下がったことを示す)は、9 系列のうち 7 系列で下がった。この指数でスコアが付いているのは 2025 年半ば以降のモデルだけなので、ここでは 2 年目を比較する。

開発元と系列指数、2025 年 10 月から 2026 年 10 月加重平均料金指数 1 ポイントあたりの料金比率
Anthropic 主力22.8 から 57.6$30.00 から $8.000.11x
Anthropic 中位19.3 から 35.9(デフォルト設定)$6.00 から $4.000.36x
Anthropic 小型16.9 から 43.4$2.00 から $0.200.04x
OpenAI 主力23.0 から 51.8$3.44 から $4.000.52x
OpenAI 中位16.8 から 42.1$0.69 から $4.502.6x
OpenAI 小型13.0 から 38.1$0.14 から $0.200.50x
Google 主力16.1 から 52.6$3.44 から $4.000.36x
Google 中位13.1 から 40.9$0.85 から $1.500.57x
Google 小型8.5 から 22.2$0.18 から $0.851.9x

対象モデルは最初の表と同じだ。スコアは各モデルで最高の推論設定を使った値で、推論設定とは回答前にどれだけ長く考えるかを指定するリクエストのオプションを指す。ただし、Sonnet はデフォルト設定のスコアを使う。旧世代の Sonnet では、この設定でしかスコアが公開されていないためだ。また、旧モデルの 2025 年 10 月のスコアは Artificial Analysis の推定値となっている。スコア 1 ポイントあたりの料金が上がったのは、開発元が性能の向上幅を上回る値上げをした場合だけだ。

カテゴリごとの料金はどう違ったか

主力モデルの価格差は縮まり、中位モデルは値上がりし、小型モデルは価格が二極化した。主力モデルの入力料金は、2024 年 10 月には最高値が最安値の 12 倍だった(Claude 3 Opus が $15、Gemini 1.5 Pro が $1.25)。2025 年 10 月も 12 倍だったが、現在は 2 倍だ。その間、OpenAI の主力モデルは 2026 年 4 月の GPT-5.5 で $5 / $30 に上がった後、$2 / $10 に下がった。現在の中位モデルは、1 年前の主力モデルをスコアで上回る。OpenAI と Google はその性能に見合う料金を設定したため、中位モデルの入力料金の差は 40x から 2.7x に縮まり、Sonnet の値下げがその差をさらに縮めた。小型モデルでは、OpenAI と Anthropic がともに $0.10 / $0.50 に落ち着いた。一方、Google の Gemini 3.5 Flash-Lite は、2025 年半ばの Gemini 2.5 Flash と同じ料金だ。

各社の料金戦略はどう違ったか

Anthropic は料金を長期間据え置き、段階的に値下げした。OpenAI は頻繁に料金を改定し、そのたびに性能や効率の向上を理由に挙げた。Google は世代ごとに料金を引き上げ、値上げを事前に告知した。Opus 5.5、GPT-6 Sol、GPT-6 Luna が同日に公開された際も含め、3 社とも料金変更の理由として競合他社を名指しすることはなかった。

Anthropic:定価を据え置いた後、段階的に値下げ。Sonnet は 2024 年 3 月から 2026 年の Sonnet 4.6 まで $3 / $15 を維持した。Opus も $15 / $75 を維持していたが、2025 年 11 月の Opus 4.5 で $5 / $25 に下がった。Anthropic は「Opus 水準の性能を、より多くの利用者が使えるようにする」と説明している(Anthropic)。その後の値下げも新モデルの投入に合わせて行われた。Opus 5.5 は「推論処理に必要な計算量が Opus 5 より少なく、料金にもそれを反映している」とされる(Anthropic)。Sonnet 5 の導入料金 $2 / $10 は、8 月に標準料金になった。値上げがあったのは Haiku 系列だ。Claude 3.5 Haiku は 2024 年 11 月に「性能の向上を反映するため」$1 / $5 で登場し、1 か月後に $0.80 / $4 に下がった(TechCrunch)。2025 年 10 月の Haiku 4.5 では、再び $1 / $5 になった。

OpenAI:性能や効率を理由に頻繁に料金を改定。値上げの理由には性能向上を挙げた。GPT-5.2 は「GPT‑5.1 より高性能なモデルであるため、token 単価を高く設定した」としている(OpenAI)。値下げの理由には推論処理の費用削減を挙げた。o3 は 2025 年 6 月に 80% 値下げされ、その理由は「o3 を提供する推論スタックを最適化した」と説明された(OpenAIDevs)。GPT-6 Sol と Luna は、前世代の半額の入力料金で登場した。「キャッシュと推論の改善により、これらのモデルをより低い費用で提供できるようになった」ためだ(OpenAI)。公開時の料金は長く続かなかった。7 月に公開された GPT-5.6 の 3 モデルは、いずれも 6 週間以内に値下げされた。Reuters は 8 月の GPT-5.6 Sol の値下げを「Anthropic や中国の AI モデルとの競争激化」と結び付けたが、OpenAI は効率向上を理由に挙げた。

Google:値上がりが続き、今後の値上げも予定。Google は当初、すべてのカテゴリで最も安かったが、世代交代のたびにほぼ毎回値上げしてきた。理由はたいてい説明していない。例外は Gemini 2.5 Flash で、2025 年 6 月に入力料金を倍にした際には「Flash の卓越した価値を反映した個別の調整」と説明した(Google)。8 月以降は、値上げ日をあらかじめ決めたうえで導入料金を設定している。Gemini 3.7 Flash と 3.8 Flash は 12 月 31 日まで $0.75 / $3.75、その後は $1.50 / $7.50、Argon は 11 月 30 日まで $2 / $10、その後は $4 / $20 となる。Google は理由を説明していないが、Sundar Pichai は 7 月に投資家に対し「引き続き供給が制約となっている」と述べている(Alphabet)。

DeepSeek の料金戦略は他社とどう違うのか

DeepSeek は、新しいアーキテクチャで推論の処理費用が下がると値下げし、需要が GPU の処理能力を上回ると値上げした。効率が料金の下限を決め、計算資源の供給量がその時々の料金を決めていた。この仕組みにはキャッシュが大きく関わる。prompt の冒頭が処理済みのテキストと一致すれば、プロバイダーは再計算せず、保存済みの中間状態(KV cache)を再利用できる。該当する入力 token はキャッシュヒットとして、通常より安い料金で課金される。

日付変更内容キャッシュヒット / キャッシュミス / 出力の料金(100 万 token あたりのドル建て料金)
2024 年 8 月ディスク上のプロンプトキャッシュを導入(DeepSeek V2、続いて V2.5)$0.014 / $0.14 / $0.28
2025 年 2 月V3 の公開記念キャンペーンが終了し、通常料金に移行。2 月 26 日から夜間は V3 が 50%、推論モデルの R1 が 75% 割引$0.07 / $0.27 / $1.10
2025 年 9 月 5 日V3.1 の推論モードと非推論モードの料金を統一。夜間割引を終了$0.07 / $0.56 / $1.68
2025 年 9 月 29 日V3.2-Exp で料金を半額以下に引き下げ$0.028 / $0.28 / $0.42
2026 年 4 月V4 Flash を公開。2 日後にキャッシュヒット料金を公開時の 10 分の 1 に引き下げ$0.0028 / $0.14 / $0.28
2026 年 8 月 17 日ピーク時間帯料金を導入。オフピークはピーク料金の半額ピーク時間帯は $0.014 / $0.44 / $1.32
2026 年 9 月 10 日V4.1 Flash が V4 Flash の後継にピーク時間帯は $0.006 / $0.30 / $1.20

料金は、各時点の DeepSeek の低価格モデルのもの。ピーク時間帯は、営業日の北京時間 09:00 から 12:00 と 14:00 から 18:00。

効率化。DeepSeek は、3 回の値下げをアーキテクチャの改良と結び付けて説明している。2024 年のディスクキャッシュは、DeepSeek 独自の圧縮型 Attention 設計である MLA を基盤としていた。KV キャッシュを安価なディスクに収まるサイズに縮小できたためだ(DeepSeek)。2025 年 9 月の値下げ時には、過去の token の一部だけを参照する DeepSeek Sparse Attention が導入された。中国語の発表では、新モデルの推論提供コストが大幅に下がったことを値下げの理由としている(DeepSeek)。V4.1 Flash の KV キャッシュに必要な容量は、前モデルに対して「HBM(GPU メモリ)が 1/4」「SSD ストレージが 1/8」だ。DeepSeek は「キャッシュヒットの料金は、エージェントの費用の大きな割合を占めることが多い」とも指摘している(DeepSeek)。同社のキャッシュヒット料金は現在、入力料金の 2% だ。2024 年には 10% で、現在の米国各社は 2.5% から 10% となっている。DeepSeek が公開した推論提供の実績データは、2025 年 3 月の 1 日分だけだ。その日には入力 token の 56.3% がディスクキャッシュにヒットし、GPU 1 台あたり毎時 $2 とした場合の理論上の利益率は 545% だった。ただし、実際の売上は「大幅に低かった」としている(DeepSeek)。

推論処理能力。同じ概説によると、DeepSeek は夜間に推論用ノードを研究と学習に回している。2025 年の夜間割引は、この負荷の低い時間帯を対象としていた。値上げはいずれも処理能力が不足した時期に行われた。2025 年 9 月には V3.1 のモード統合に伴って夜間割引を終了し、理由を説明せずに非推論モデルのキャッシュミス時の入力料金を $0.27 から $0.56 へ倍にした(DeepSeek)。2026 年 8 月には「リソースをより合理的に配分する」ため、ピーク時間帯料金を導入し、V4 Flash の混雑時の入力料金を 3 倍にした(中国語の発表を当社訳、DeepSeek)。V4.1 Flash はオフピークでも 8 月以前の V4 Flash より高い。ただし、指数 1 ポイントあたりの料金は、1 年前の V3.2-Exp に対してピーク時で 0.70x、オフピークで 0.35x となる(スコアは 39.5、V3.2-Exp は推定 16.6)。

4 社を比較するとどう違うか

AnthropicOpenAIGoogleDeepSeek
2 年間の料金の動き3 カテゴリすべてで下落主力と小型はやや下落(0.91x、0.76x)、中位は 17x に上昇3 カテゴリすべてで上昇低価格モデルはピーク時に 3x、オフピークに 1.5x
料金変更の頻度少ない。複数回のリリースで同じ料金を維持した後、段階的に変更多い。ほとんどのリリースで料金を変更し、数週間以内の値下げもある世代ごとに変更し、値上げ予定も告知多い。ほとんどのリリースで料金を変更し、キャンペーンや時間帯別料金も導入
公開時の料金導入料金を設定したのは 1 回(Sonnet 5)で、その後は通常料金として継続公開直後に値下げ(GPT-5.6 系列)導入料金を設定し、値上げも告知公開時キャンペーンを実施(V3、V4 Pro)。V4 Pro はその後も同じ料金を継続
公表された値上げの理由知能の向上(Claude 3.5 Haiku)性能の向上(GPT-5.2)提供価値を挙げたのは 1 回(2.5 Flash)。通常は説明なしリソースの配分(ピーク時間帯料金)
公表された値下げの理由利用の拡大、その後は提供コストの低下推論とキャッシュの効率向上説明なし。値下げではなく導入料金を設定新しいアーキテクチャによる提供コストの低下
2026 年 10 月の低価格モデル$0.10 / $0.50$0.10 / $0.50$0.30 / $2.50ピーク時は $0.30 / $1.20、オフピークは半額

料金はカテゴリごとの固定額ではなく、各社がモデルをどう位置付けるかで決まった。主力モデル並みのスコアに達したモデルには主力に近い料金が付き、低コストで提供できるようになった開発元は料金を下げた。

カテゴリごとの料金はどう動いたか

非公開モデルの主力製品では価格差が縮まり、重み公開モデルの主力製品は高くなった。低価格帯は年央に一度上がった後、期初より安くなった。各社の現行モデルを、次の 4 カテゴリに分ける。

  • SOTA 最上位: SOTA(state of the art)は最先端の非公開モデルを開発する各社を対象とし、このカテゴリには各社で最も高価なモデルを入れる。性能ではなく価格による分類だ。主力モデルの Opus 5.5 は、最上位カテゴリの 3 モデルすべてをスコアで上回る。最上位モデルが主力モデルでもある場合は、両方に含める。現在の Gemini 4 Argon が該当する。
  • SOTA 主力: 非公開モデル各社の中心となる汎用モデル。
  • 重み公開の主力: 誰でも重みをダウンロードしてホストできる 5 社の中心モデル。
  • 低価格 / Flash: 各社の低価格系列。名称は Google の Flash モデルに由来する。

グラフの線は、各カテゴリに属する各社の加重平均料金の中央値を示す。帯は最安値から最高値までの範囲で、縦軸は対数目盛だ。表の価格差は入力料金だけを比較している。

2025 年 10 月から 2026 年 10 月までの SOTA 最上位、SOTA 主力、重み公開の主力、低価格 / Flash モデルの加重平均料金の中央値と各社の価格範囲

カテゴリ2026 年 10 月 15 日のモデル加重平均料金の中央値、2025 年 10 月加重平均料金の中央値、2026 年 10 月入力料金の差(最高 ÷ 最安)、2025 年 10 月入力料金の差、2026 年 10 月
SOTA 最上位Claude Fable 5.1、GPT-6 Astra、Gemini 4 Argon$30.00$20.0012x5x
SOTA 主力Claude Opus 5.5、GPT-6.1 Sol、Gemini 4 Argon$3.44$4.0012x2x
重み公開の主力GLM-5.3、Kimi K3、Qwen3.8 Max、DeepSeek V4 Pro、MiniMax M3$1.04$2.154.3x10x
低価格 / FlashHaiku 5.5、GPT-6 Luna、Gemini 3.8 Flash、Gemini 3.5 Flash-Lite、DeepSeek V4.1 Flash、GLM-5.3 Flash、Qwen3.8 Flash$0.32$0.2420x7.5x
  • SOTA 最上位: OpenAI の pro 系列は、$15 / $120 の GPT-5 Pro から $30 / $180 の GPT-5.4 Pro へ上がった後、GPT-6 Astra で $10 / $50 に下がった。これは Claude Fable 5.1 と同額だ。Google の Argon は今のところ $2 / $10 で、現在の 5x の価格差は、このモデルと他のモデルとの差だけで生じている。
  • 重み公開の主力: 入力料金の中央値は $0.60 から $1.40 へ 2 倍以上になり、各社の価格差も広がった。$3 / $15 の Kimi K3 は Claude Sonnet 5.5 より高い。一方、MiniMax M3 は 5 回のリリースを通じて $0.30 / $1.20 を維持した。重み公開モデルの出力料金の中央値は、非公開の主力モデルの中央値に対して 24% から 44% に上がった。DeepSeek V4 Pro はピーク時間帯の料金で集計している。
  • 低価格 / Flash: 5 月から 7 月にかけて、中央値は $0.56 に上昇した。Gemini 3.1 Flash-Lite や Qwen3.6 Flash などの低価格モデルが $0.25 / $1.50 で登場したためだ。その後の低下は、主に 10 月に Haiku 5.5 が GPT-6 Luna と同じ $0.10 / $0.50 で登場したことによる。

GPT-5.6 Terra は、主力モデル並みの料金なので低価格カテゴリから外した。データの対象は 8 社で、xAI と Mistral は含まない。

同じ性能を得るための費用はどこまで下がったか

各指数水準を満たす最安モデルは、token 単価で 2.5 から 50 分の 1 になった。比較の両端でタスク単価が公開されている場合、タスク単価では 8 から 19 分の 1 だ。ここでのタスク単価は、Artificial Analysis が公表する、同社の指数の 1 タスクを定価で実行した費用を指す。各モデルの実際の token 数を使って算出されている。各日について、指数バージョン 4.3.2 で 20、30、40、50 以上のスコアを持つ現行モデルのうち、最安のものを選んだ。推論設定は各モデルの最高値を使う。

Artificial Analysis の指数 40 以上を満たすモデルの最安加重平均定価。2026 年 4 月の Claude Opus 4.7 の $10 から、10 月の Claude Haiku 5.5 の $0.20 まで。指数 20、30、50 は灰色で表示

指数水準2025 年 10 月から 2026 年 10 月の間で最初に到達した時点の最安モデルと 100 万 token あたりの加重平均料金現在の最安モデルtoken 単価の低下倍率タスク単価の低下倍率
20集計開始時の 2025 年 10 月:GPT-5*、$3.44Claude Haiku 5.5 または GPT-6 Luna、$0.2017xGPT-5 は非公開
302025 年 12 月:GPT-5.2*、$4.81Claude Haiku 5.5 または GPT-6 Luna、$0.2024xGPT-5.2 は非公開
402026 年 4 月:Claude Opus 4.7*、$10Claude Haiku 5.5、$0.2050x19x、タスク単価が初めて公開された Opus 4.8 の $4.08 から Haiku 5.5 の $0.21 へ
502026 年 7 月:Claude Opus 5、$10GPT-6.1 Sol または Gemini 4 Argon、$42.5x8.1x、Opus 5 の $5.86 から GPT-6.1 Sol の $0.72 へ

* スコアは実測ではなく Artificial Analysis の推定値。指数 40 に達した最初の実測モデルは 5 月の Opus 4.8 で、定価は同じ $10 だった。

最安値は一直線に下がったわけではない。指数 20 を満たす最安モデルは、4 月下旬から 8 月中旬まで DeepSeek V4 Flash で、料金は $0.175 だった。現在の $0.20 より安い。

最高スコアのモデルが安価になったわけではない。1 年前の上位 2 モデルは GPT-5 と Opus 4.1 で、推定スコアはそれぞれ 23.0 と 22.8、加重平均料金は $3.44 と $30 だった。現在の首位はスコア 57.6 の Claude Opus 5.5 で、加重平均料金は $8 だ。大幅に安くなったのは、数か月前まで最高のモデルしか届かなかった性能水準である。

なぜ料金はこう動いたのか

各社の自社料金に関する説明とは別に、これらの料金変化と同時期に、市場では 3 つの動きがあった。それぞれが価格に働く方向は異なる。時期が重なっているため、このデータだけでは個々の影響を切り分けられない。

需要と推論処理能力。リクエストに応答するための GPU が需要に追いつかなければ、プロバイダーは利用量を制限したり、混雑時の料金を上げたりできる。API リクエストを多数のモデルホストに振り分けるマーケットプレイス OpenRouter では、週間取扱量が 2025 年 4 月の約 5 兆 token から 2026 年 4 月には 20 兆 token 超に増えた。プログラミング用途の比率も約 11% から半分以上になった(Wing VC)。Anthropic は 5 月 6 日に xAI の Colossus 1 データセンターを利用できるようになった 後、Claude サブスクリプションの混雑時間帯の利用制限を解除した。同時期の API 料金の動きには、4 月に $5 / $30 で登場した GPT-5.5、Google が「供給能力に制約がある」と説明する中で予定している値上げ、DeepSeek のピーク時間帯料金がある。

競争と最安値。中国の重み公開モデルが OpenRouter の token 数に占める割合は、2024 年末の約 2% から 2026 年 5 月までに約 61% に上昇した(Wing VC)。ただし、ChatGPT のような自社サービスのトラフィックは、ルーター経由の規模をはるかに上回る。6 月には Wall Street Journal が、Anthropic の値下げを見越して OpenAI が値下げを検討していると報じた(Decrypt)。両社とも 9 月 22 日に、より安価なモデルを投入した。性能水準ごとの最安値を担ったのは、4 月下旬から DeepSeek が値上げした 8 月までが DeepSeek V4 Flash、その後は Claude Haiku 5.5 と GPT-6 Luna だった。

重み公開モデル開発元の収益。重みが公開されていれば、どのホストでも同じモデルを販売できる。Zhipu が GLM-5.3 Flash を公開した後、OpenRouter における同モデルのトラフィックのうち、Zhipu 自身の API が処理する割合は 3 週間で 88% から 22% に下がった。AI 研究団体 Epoch AI は、OpenRouter 上の DeepSeek モデルへの支出のうち、DeepSeek が受け取るのは約 8% と推定している(Weijin Research が紹介した Huxiu の報道)。これらの数字は、重み公開モデルの値上がりの大半が起きた後のものだ。値上がりと矛盾はしないが、その原因を示す数字ではない。最新の主力モデルでは、ホストによる大幅な価格の切り下げは起きていない。10 月 16 日時点で最も多かった料金は開発元と同じ料金で、GLM-5.3 では 44 ホスト中 15、Kimi K3 では 25 ホスト中 7 だった。Kimi K3 を安く提供する 15 ホストのうち 12 は、4-bit 量子化した重みを使っていた。これは圧縮版であり、回答が元のモデルと異なる場合がある。

token 単価とタスク単価はなぜ違うのか

定価が同じ 2 つのモデルでも、タスク単価は数倍違うことがある。主因は reasoning token だ。モデルが回答前に内部で段階的な推論を書き出す際の token で、出力として課金される。Artificial Analysis は、各モデルが指数の 1 タスクを実行する際の平均費用を定価ベースで公開している。

比較するモデル100 万 token あたりの定価(入力 / 出力)指数のタスク単価の平均
Claude Haiku 5.5 と GPT-6 Lunaどちらも $0.10 / $0.50$0.21 と $0.07
Gemini 4 Argon と GPT-6.1 Solどちらも $2 / $10$1.99 と $0.72
Qwen3.8 Max と GPT-6.1 Sol$2 / $6 と $2 / $10$5.41 と $0.72

Qwen3.8 Max は比較相手より出力料金が安いのに、タスク単価は 7.5 倍になる。当社のテストでも、正答 1 件あたりの費用は Argon が GPT-6.1 Sol の 3.1 倍だった(Gemini 4 Argon の API 費用)。自分たちのトラフィックでモデルを比較するには、実際のリクエストをまとめて実行し、各レスポンスの token 数から費用を算出する(reasoning token は出力として課金される)。費用の合計を品質基準を満たした回答数で割り、回答 1 件あたりの費用でモデルを比較する。

入力料金に対してキャッシュ料金はどう変わったか

非公開モデル各社の主力モデルと最上位モデルでは、入力料金に対するキャッシュ読み出し料金の比率が下がった。キャッシュ読み出しは、DeepSeek の節で説明したキャッシュヒットを指す。一方、2 社でキャッシュ書き込み料金が上がった。表は、各モデルの読み出し料金が自モデルの入力料金の何% に当たるかを示す。

カテゴリキャッシュ読み出し ÷ 入力、2025 年 10 月:中央値(範囲)2026 年 10 月:中央値(範囲)現在の最低値と最高値
SOTA 最上位10%(全モデル)5%(2.5% から 10%)Claude Fable 5.1 が 2.5%、GPT-6 Astra が 10%
SOTA 主力10%(全モデル)5%(全モデル)Claude Opus 5.5、GPT-6.1 Sol、Gemini 4 Argon はすべて 5%
重み公開の主力18%(10% から 25%)12.5%(3.3% から 20%)DeepSeek V4 Pro が 3.3%、MiniMax M3 が 20%
低価格 / Flash10%(全モデル)10%(2% から 20%)DeepSeek V4.1 Flash が 2%、GLM-5.3 Flash が 20%

非公開の主力モデルは、3 週間のうちに入力料金に対するキャッシュ読み出し料金の比率を半分にした。Opus 5.5 は 9 月 22 日、GPT-6.1 Sol は 9 月 29 日、Argon は 10 月 13 日だ。重み公開モデル各社はこれより高めで、DeepSeek は例外となる。ただし、V4 Pro の 3.3% は入力料金が上がった結果であり、読み出し料金自体が安くなったわけではない。MiniMax は 3 月の M2.7 で 10% から 20% に上げた。キャッシュ料金の記載がないモデルは除外した。

prefix を初めて保存するリクエストにかかるキャッシュ書き込み料金は、2 社で変更があった。OpenAI は 7 月の GPT-5.6 から課金を始めた。デフォルトの 30 分キャッシュは入力料金の 1.25 倍、10 月 20 日に追加された 12 時間キャッシュは 2.5 倍だ。Kimi K3 は Kimi K2 と同じく、デフォルトの 5 分キャッシュへの書き込みを入力料金と同額に据え置き、任意の 1 時間キャッシュを 2 倍の料金で追加した。Anthropic は引き続き 5 分キャッシュが 1.25 倍、1 時間キャッシュが 2 倍で、Google、DeepSeek、Zhipu も追加料金なしのままだ。書き込み料金の元が取れる条件は、キャッシュ書き込みガイド で扱っている。

実務ではどう判断するか

系列名ではなく、必要な性能とタスク単価で予算を組む。小型モデルも改めてテストする。

ワークロード確認すること候補と数値
大量の情報抽出、分類、ルーティング2026 年の小型モデルが品質基準を満たすかClaude Haiku 5.5 は 43.4、GPT-6 Luna は 38.1 で、料金は $0.10 / $0.50。1 年前はデータ内に 23 を超えるモデルはなかった
エージェントと長い推論タスク完了 1 件あたりの費用指数のタスク単価は GPT-6.1 Sol が $0.72、同じ定価の Gemini 4 Argon が $1.99
最高性能が必要な処理指数 50 で足りるか、最高スコアが必要か指数 50 は GPT-6.1 Sol で加重平均 $4。Argon も 12 月 1 日までは同額。スコア 57.6 の Claude Opus 5.5 は $8
公開時の料金を前提にした予算策定その料金がいつまで続くかGoogle の導入料金には値上げが予定されている(Argon は 12 月 1 日、Gemini 3.8 Flash は 1 月 1 日)。OpenAI は GPT-5.6 の 3 モデルすべてで公開時の料金を 6 週間以内に引き下げた。Anthropic はリリースを重ねても料金を維持し、新モデルで値下げした
DeepSeek でのバッチ処理オフピーク時間帯に実行できるかDeepSeek V4.1 Flash は北京の営業時間外なら半額で、$0.30 / $1.20 に対して $0.15 / $0.60
費用を抑えるための重み公開の主力モデル対象モデルのホスト別料金と重みの精度Kimi K3 を Moonshot より安く提供する 15 ホストのうち 12 は、4-bit 量子化した重みを使っている

よくある質問

2026 年に LLM API 料金は下がっているのか token あたりの LLM API 料金は、全体としては上がった。2025 年 10 月と 2026 年 10 月を比較した 14 系列のうち、入力の定価は 10 系列で上昇した。一方、同等性能に必要な費用は下がった。Artificial Analysis Intelligence Index で 40 を満たす最安モデルは、2026 年 4 月には 100 万 token あたりの加重平均料金が $10、10 月には $0.20 だった(Claude Haiku 5.5)。タスク単価では、5 月から 10 月にかけて 19 分の 1 になった。

API 料金を最も下げた AI 開発元はどこか 最も値下げしたのは Anthropic だ。2026 年 10 月までの 2 年間で、3 つの価格帯すべての定価を引き下げた。Claude Opus 5.5 は $4 / $20 で、Claude 3 Opus の $15 / $75 より安く、Claude Haiku 5.5 は $0.10 / $0.50 になった。Google は 3 つの価格帯すべてで値上げした。OpenAI の主力モデルと小型モデルの加重平均料金は、2024 年 10 月比で上下 25% 以内に収まったが、中位モデルは 17 倍になった。

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